熊野の森林に息づく
可能性と課題
紀州地方は、古くから「木の国」として知られ、その土地の77%が森林に覆われています。ここで生産される木材は「紀州材」と呼ばれ、その色艶と素直な質感が価値を高めています。紀州材は、強度や耐久性も優れており、長年にわたって貴重な森林資源として利用されてきました。
しかし、近年林業従事者の減少により、手入れが行き届かない森林が増えています。特に暖かい南の熊野地方では、スギノアカネトラカミキリという虫による食害が問題となっており、食害に遭った木材は「アカネ材」と呼ばれ、その見た目の悪さ(穴・変色)から利用が進まず、森林の荒廃を招いています。これは山から人が離れていく悪循環につながり、熊野の山々の未来に暗い影を落としています。